撤退学研究ユニットが、去る2022年9月23日に東京・青山ブックセンターにて、シンポジウム「山岳新校、ひらきます:山中でこれからを生きる「知」を養う」を開催し、盛況のうちに終了しました。
まず、堀田新五郎氏(奈良県立大学副学長・地域創造研究センター長)が、奥大和に「山岳新校」という学びの場を創設する背景・理念について説明し、作野広和氏(島根大学教授)が「地域の縮小にどう向き合うか」について「むらの減築」という観点から講演をおこなった上で、堀田氏・作野氏が、成長神話や近代教育の問題性、そして「撤退」の可能性について対談をおこないました。
続いて、「山岳新校」を構成する3つの学びの場についての具体的な説明をおこないました。
まず、梅田直美氏(奈良県立大学教授)が、「標準」から外れた生き方・働き方を学ぶ場「みちのり」の説明をおこない、生きづらさを抱える人が多い現代社会の中で、「賃労働」ではない仕事・活動の価値を再発見することの重要性などについて語りました。
次に、坂本大祐氏(合同会社オフィスキャンプ代表)と青木真兵氏(人文系私設図書館ルチャ・リブロキュレーター)が、「資本の原理」に支配される現代社会に「自然の原理」を取り戻す試みとして、「山學院」という学びの場を紹介しました。
次に、西尾美也氏(奈良県立大学准教授)が、アメリカのノースカロライナに24年間だけ存在した伝説的な美術学校「ブラック・マウンテン・カレッジ」から着想を得た芸術学校の構想について、アートやアートプロジェクトを「学び合い」と捉える視点に基づき、様々な先行事例を紹介しながら説明しました。
以上を踏まえて、フロアとの質疑応答をおこない、様々な質問に回答しながら濃密な議論が繰り広げられ、閉会後も個別に登壇者と来場者の活発な交流が続きました。
なお、本シンポジウムのアーカイブ動画は近日中に有料にて公開予定です。詳細は、本サイト及び下記のFacebookページでお知らせします。