人間は社会的・文化的身体として、生まれ育った環境における装いの方法から容易には抜け出せない。また、現代社会では新しい服がシーズン毎に生産され、デザイナーや企業は私たちに絶え間ない消費行動を促している。このように考えると、装いはある種のコミュニケーションを担う一方で、あり得たかもしれない別のコミュニケーションを遮断しているのではないか。
本研究ユニットでは、コトとしての装いのデザインという方法論によって、装いが閉ざしているコミュニケーションを装いによって取り戻すことを目的としている。これまで研究代表者が実験的に展開してきた数々の装いに関するアートプロジェクトを、よりコミュニティや人々の日常に根ざした継続的な活動へと変換することで、それを実現させたい。
具体的には、「東京ビエンナーレ2020/2021」、「西尾美也 × 銀座の路地(仮)」、「NISHINARI YOSHIO」、その他計画中の各活動に研究代表者はアーティストとして、研究ユニット員はアートディレクターやマネージャー、コーディネーターの立場から関わりながら、実践的な研究を進める。