1990年代後半から増加した日本におけるアートプロジェクトは、その性質上、現代アートとしての批評や言説の蓄積がないことがその課題として指摘できる。
本研究は、脱美術館的=脱権威的な活動としてのアートプロジェクトの最終目標を、すべての人が創造的である状態に向けて働きかけることだと仮定し、その教育としての可能性と課題を明らかにしようとするものである。
具体的には、日本の大学やオルタナティブな教育機関、アートプロジェクトによる教育の実践者を対象とした先行研究整理と情報収集、インタビュー調査、参与観察調査を行い、アートマーケットやアートワールド、あるいはまちづくりや地域振興といったわかりやすい目的に回収されないアートプロジェクトの価値について言説化することを目指す。
1年目は中村政人氏へのインタビュー実施と、他のインタビュー候補者について検討し、打診を開始する。2年目からは約3年間をかけて50名程度の美術関係者へのインタビューを行い、5年目の最終年度に成果物を出版する。