ローカルメディア研究ユニット
ローカルメディア研究ユニット
RESEARCH UNIT

ローカルメディア研究ユニット

研究テーマ
「紙と場」に再埋め込みされるローカルメディアの文化研究
メンバー
研究代表者
松岡慧祐(奈良県立大学 准教授)
研究ユニット員

永井純一(関西国際大学 准教授)

小川豊武(日本大学 准教授)

阿部純(広島経済大学 准教授)

浅香保ルイス龍太(WEB・広報ディレクター)

研究補助員

設置期間
2020年10月15日〜2025年10月15日
Summary
研究概要

2010年代以降、日本では紙のローカルメディアが全国各地で増殖し、SNS隆盛の時代に独自のメディア文化を形成するようになったが、学術的な研究はほとんどおこなわれてこなかった。そこで本研究は、SNSの台頭やコロナ禍を経てデジタル化・オンライン化がさらに進む現在の社会において、紙のローカルメディアがどのような意義や役割を有しているかを考察することを目的とする。それに当たって、行政レベルのものから個人レベルのものまで、多様なローカルメディアが地域やローカル文化をどのように表象しているかを分析することに加え、場を起点にローカルメディアが立ち上がったり、場を介してローカルメディアが共有されたりしている事例に着目する。これにより、ローカルメディアを「紙と場」に再埋め込みされるものとして捉え直し、メディアにおける物質性と場所性の探究を目指す。

研究計画

◆文献・資料調査による2000年代~現在のローカルメディアの系譜と現状の把握
関連する文献・資料を収集し、2000年代以降に広がりを見せた紙のローカルメディアの系譜をさらに詳しく調べ、整理する。2000年代~2015年までに創刊された主なローカルメディア(特に地域文化誌)はすでに収集し、リスト化済みであるため、今後は2015年以降に創刊されたもの収集し、発行者・内容別に分類をおこなう。その上で、2000年代のものと2010年代以降のものを比較し、共通点と相違点を分析することで理論的枠組みの構築を目指す。その中で、地域のウェブマガジンとの比較もおこなう。

◆ ローカルメディアの内容分析
収集したメディアの内容分析をおこなうことで、ローカルメディアにおける表象がどのような社会状況のもとに生成し、どのようなローカル文化を創出しているかを明らかにする。

◆制作者へのインタビュー調査、制作現場の参与観察
ローカルメディアの制作者に、紙メディア制作の目的や経緯、影響などについてインタビュー調査をおこなう。また、すでにユニットメンバーが制作に関わっているフリーペーパーの編集部の参与観察を継続し、制作者たちが集まる場におけるコミュニティやコミュニケーションの動態と、そこで共有される規範を明らかにする。さらに、地域のクリエイティブ・スペースやフリーペーパー専門店などの場を介して人が集い、ローカルメディアが制作・共有されている事例の調査をおこなう。以上により、ローカルメディアにおける物質性と場所性の意義を解明する。

◆研究成果の社会発信
研究成果を学会発表、論文、著書などで公表するとともに、シンポジウムを開催し、実践家や一般参加者とともに議論する。