ソーシャルビジネスによって生み出されるコミュニティ…

ソーシャルビジネスによって生み出されるコミュニティの研究―「当事者性」と「自律性」に着目して

Update:
活動の名称・テーマ
ソーシャルビジネスによって生み出されるコミュニティの研究―「当事者性」と「自律性」に着目して
研究代表者
梅田直美(奈良県立大学・准教授)
設置期間
2016年4月〜

活動の概要

本研究の目的は、何らかの福祉的課題に直面した経験をもつ人が、その経験を軸として構想し起業したソーシャルビジネスの事例を取り上げ、その営みによって生み出されるコミュニティの性質がいかなるものであるかを探ることです。特に、「当事者性」と「自律性」に着目しています。

具体的には、居住者以外の様々な世代の人々が毎週数100人規模で集うケア付きアパートメント、同じく居住者以外の人々が自由に出入り・寝泊まり可能な低家賃のシェアハウス、地域内外の人々が集い社会活動の拠点となっているブックショップなど、これまでは想像しえなかった様々な興味深い事例が生み出されています。これらの事例はいずれも、社会的孤立、ひきこもりの経験や、認知症の親の介護と子育てのダブルケアの経験など、起業者自らの経験を軸として着想し、実践に至った事例です。

これらの事例には、興味深い共通点があります。たとえば、それらのビジネスが生み出す場は、一定のルールはあるものの、基本的には他者に迷惑かけることや傷つけること以外はそこで何をしてもよい、あるいは何もしなくてもよいという、「自律性」を尊重しています。また、そこに集う人々は、時には「家族」的な親密性を形成する一方で、属性や役割に捉われず多様な人々を受け入れ、時には共に新たな社会的活動へと向かう開放性や公共性を有しています。

本研究では、こうした個人事業規模のソーシャルビジネスによって生み出されるコミュニティの性質とその意味を、起業者の「当事者性」とそこに集う人々の「自律性」に着目しながら探っています。

 なお、本研究は、社会学・社会福祉学・経済学の研究者らで、理論研究班・実証研究班を構成して共同研究として取り組んでいます。フィールドは主に日本ですが、2016~2018年度においてはJSPS科研費の助成を受け、ドイツ・フランス・スウェーデンとの国際比較の視点からの研究も行っています。

連絡先

n-umeda@narapu.ac.jp