近年世界各地で興隆するホームステイ及びこれを中核とした観光諸形態の動向に注目することで、開発途上国の農村部における観光開発に関する国際的な比較研究を行う。1990年代以降、持続的な開発の概念のもとに、観光開発が開発途上国における農村開発の代替手法として採り入れられてきた。それは農村観光、コミュニティ・ベースト・ツーリズム、責任ある観光、グリーン・ツーリズムなど様々な理念と形態をとりながら、また相互に重なり合いながら展開されてきた。本研究では、ホームステイがそれら諸形態を通じて中核的な構成要素となってきたと措定し、これに注目することで観光諸形態の横断的な分析を試みる。東南アジアと南アジアにおける開発事例の国際的な比較研究を実施し、その現状と課題を明らかにする。
本研究は、令和2年度に新規採択された科学研究費補助金事業に基づき実施する。具体的には、研究代表者である中谷は、本研究テーマに関してインドとバングラデシュの事例研究及び研究全体の統括を行う。研究ユニット員については、亀山はインドネシアの事例研究、薬師寺はマレーシアの事例研究、ラナシンハはスリランカの事例研究を実施する。各員が可能な限りの現地調査を実施する予定であるが、新型コロナウイルス感染症の影響により海外渡航が制限される状況下では、研究の遂行にかなりの影響を受けざるを得ない状況である。