明日香村を取り巻く状況が大きく変化するなかで、当該地域が守り目指すべき風景像には不明瞭な点が多く、かつその寄る辺となる資料も各所に散逸し、総合的整理・検討がなされぬままにあることが問題として指摘できる。この問題の改善に寄与すべく、当該地域において風景保存の問題が顕在化した昭和40年代から現在に至るスパンで、具体的に、当地のどの場所の、どのような風景が地域内・外の人々に「愛でられて」ないし「重視されて」きたのか、関連資料の整理を通し把握することとする。かつ、その風景構築のメカニズム、現状にみる課題の読解を通し、明日香村固有の風景特性と継承の方途について考究することを目的とする。