既存のファッション誌では、特定の性別・年齢層の人々がターゲットにされ、その時々の流行に応じた均質的なイメージや情報が発信されている。たとえば、若者向けのファッション誌には、流行の服を纏った若者のファッションモデルだけが起用され、ストリートスナップにも雑誌のコンセプトに合った若者しか登場しない。しかし、こうしたファッション誌に載る人だけが「おしゃれ」なのだろうか。「おしゃれ」の基準は1つだけなのだろうか。多様性のあるファッション表現は可能か。松岡研究室では、こうした問題意識を共有し、既存のファッション誌とは異なる視点から、オルタナティブなファッション誌を学生が主体的に制作している。なお、創刊号では、近鉄奈良駅、JR奈良駅、新大宮駅周辺で、多様な世代・国籍の人々のストリートスナップを撮影し、掲載した。今後も、学生の主体的な活動と企画で様々な特集を組み、ファッションのあり方やオルタナティブなメディアの可能性を考える契機にしたいと考えている。