ブックタイトルnarapu 08

ページ
10/16

このページは narapu 08 の電子ブックに掲載されている10ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

narapu 08

Introduction教員紹介Live life to the full !(フルに生きよう)地域創造学部准教授大槻きょう子専門分野:言語学、応用言語学、英語教育(多読)担当科目:必修英語1・2趣味など:読書、裁縫愛読書:『人間の土地』新潮文庫(初版1955年)サン=テグジュペリ(著)堀口大学(訳)近年の研究言語学は、音の出し方(音声学)から人間関係(社会言語学)まで幅広く言語に関する事象を扱います。私は言語学の中で語用論や文法という分野で研究をしています。語用論とは、発話の場面、状況においての意味を扱う分野です。例えば、窓が開いた部屋で「寒いな。」というと、温度の他に相手に窓を閉めてほしいという意味になります。また、文法というと決まりきったルールというイメージですが、実際のことばの使用を体系化したのが文法です。使用の仕方が変わるとルールも変わります。使用が構造(ルール)を作るのです。英語を使う場が足りません。そして英語のインプットなしに話したり書いたりはできません。英語にたくさんさらされることで、英語で考えながら英語を使う素地を作りましょう。実際、他の言語を使うことは自分の中にもう一人の人格を持つことで、これはとてもおもしろい経験です。ことばと切り離された生活はありえない以上、母語以外の言語を知ることで、みなさんが大学生の間に少しでもことばについて考えられればとてもうれしいです。プロフィール法律と英文学、英語学を勉強した後、高校の教員となり、その後スコットランドに留学しました。留学先では、イギリス人だけでなくいろいろな国の人と友達になることができました。専門分野について話したり、くだらない冗談で笑ったりした全ての瞬間が宝です。語学を学ぶ目的は人それぞれですが、英語を学習していてよかったと思えるような経験を学生の皆さんと一緒に作り出していきたいと思います。一つの言語現象を取っても、文法的に語るか、機能面から語るか、状況面から語るかなど、ことばをとりまく現象はあまりに多様でもつれた毛糸のようなので、方法を踏まえて、順序だてて、クリアーに考えていくことが必要です。私は数年来、市中で配布されるフライヤーにみられる文法について考えています。例えば代名詞を精査することで、フライヤーの書き手が読み手にどのような態度を取ろうとしているのかが見えてきます。ことばがどのように機能しているのか、がある断面から見えてくると、とても意味深長に聞こえることが実は中身がなかったりすることなども分かってきます。授業では英語多読活動をしています。そもそも日本では圧倒的に愛読書『人間の土地』サン=テグジュペリ学生時代に初めて読んで以来、夜景を見るとこの本の中の地上に光る家々の灯りの描写が思い出されます。『星の王子さま』で有名な著者のサン=テグジュペリは飛行機操縦士でした。20世紀初めの飛行機の黎明期に操縦士たちは命がけで郵便飛行航路を開拓しました。文明の発展に貢献する一人の人間の大きさと自然の前での人間の小ささを思うことができます。そして、アンデス山脈の吹雪の中で凍傷にかかり一歩も歩けない経験を私たちにさせることで、読者を他人の境地に立たせるという文学の役割を見事に果たしています。9