ブックタイトルnarapu 05

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概要

narapu 05

地域活動紹介実践型アートマネジメント人材育成プログラム「CHISOU(チソウ)」が始動2020年夏、長い歴史と文化が息づく古都奈良から「アートが日常に溶け込んでいるまち」を目指し、奈良県立大学の新しい取り組みがスタートしました。文化庁「大学における文化芸術推進事業」の採択を受けて実施される本プログラム「CHISOU」では、アーティストの問題意識や思考、あるいはそこから生まれる問いかけを、作品づくりやプロジェクト構想のプロセスに寄り添いながら、受け手や社会に翻訳して伝えるアートマネジメントの技法修得を目的としています。その受講者向けオリエンテーションが、8月17日・22日の2日間にわたって、地域交流棟3階「CHISOU lab.」で開催されました。集まったのは、年齢や経験、学生・社会人など所属を問わず、文化芸術や地域創造に関心のある方々。新型コロナウイルス感染対策の観点から、会場での対面に加え、zoomを使ったオンラインでも同時に開催しました。「CHISOU」は、地域の多層性を読み解くレクチャーを受ける「読解編」、アーティストと共にアートプロジェクトを企画・制作・運営する「表現編」、アートプロジェクトのアーカイブを実践する「共有編」の3つのプログラム(各7回程度)から構成され、美術や舞台芸術、音楽などの芸術領域を横断するアートプロジェクトを、リサーチ・企画・運営・アーカイブするプロセスを経ながら、多角的かつ総合的にマネジメントするための技法を実践的に身につけます。毎回お迎えする講師も、ジャンルを問わず多彩です。「読解編」では、芸術や社会学、地域研究などを専門とする研究者に加え、国内外のアートプロジェクトや異文化交流イベントの実践者からレクチャーを受けます。「表現編」では、多様な人々との協働や地域資源を生かした作品を制作するアーティストと共に、リサーチや制作のプロセスを共にしながら、作品やプロジェクトを生み出していく過程について学びます。「共有編」では、アーティストの活動を記録や記憶に残すキュレーター、それを効果的に視覚化するデザイナー、地域にとって重要な史料や書物を保存・活用する図書館の専門家などから、多様なアーカイブの活用実践について習得します。グローバル化が進み、インターネットやAIをはじめとする技術革新が進む一方、気候変動の加速、格差の拡大、世界的なパンデミックの脅威などあらゆる社会課題を抱え、先行きの不透明さがますます増していく今。アートについてのみならず、地域や社会の文脈を読み解く視点を身につけ、創造的な感性を総動員して生きていくための学び合いの場を、これから受講者や講師の皆さんと共に育てていきます。執筆:山本あつし(CHISOUコミュニケーションデザイナー)7